日本でも一部のコアなゲーマーが注目しているホラーアドベンチャーゲーム、「コール・オブ・クトゥルフ(Call of Cthulhu)」の北米版を、一足先にクリアしました。
日本語版の発売日は2019年3月28日。絶賛発売中です。ゲーム内ではグロテスクな表現もあり、Z指定となっています。
北米版は2018年10月30日にリリースされていまして、私は発売と同時に購入しました。
ただ、この数日前の10月26日にはなんとあの「Red Dead Redemption 2」が発売されておりまして、コールオブクトゥルフを超絶楽しみにしてたクセに、しばらく完全にRDR2に心を奪われておりました。
ちなみにこのゲーム、海外版だと言語は英語のみです。
海外で開設された公式サイトには日本語表記があったので期待していたのですが、完全英語だったのでちょっと期待を外されたのもあって、プレイを後回しにしていました。
ほんで、ようやく先日プレイするきっかけを得まして、無事にクリアした…という訳でございます。
ということで、今回はコールオブクトゥルフのプレイレポートとレビューをお送りします。
国内版の購入を検討している方は、ぜひご参考ください。
追記:
ゲームをすでにプレイされた方の感想もある程度出揃っています。
記事の最後にある程度まとめましたので、よろしければご参考ください。
コールオブクトゥルフのストーリー
コール・オブ・クトゥルフの主なあらすじ
1924年。探偵のエドワード・ピアースはホーキンス家の悲劇的な死を調査するためにダークウォーター島に行く。
http://www.o-amuzio.co.jp/games/callofcthulhu/main.html
地元の人が何も話してくれない。警察の捜査報告も怪しい。
何かが変だと分かったピアースは調べれば調べるほど恐ろしい真実に近づいていく…
捕鯨業の町だったダークウォーター島は時の流れとともに忘れ去られた。
謎の隠し通路、悪夢のような収容所、違法の酒場、放置された倉庫…建物は残っているが、人はほとんどいない。
残されたのは希望もなく老いた船乗りたちに、行き場のない遺産目当ての親族だけ。よそ者は歓迎されない。
島の住人と会話し、手がかりを掴み、ダークウォーター島の恐るべき真実を暴こう。
ことの起こりは、私立探偵のピアースのもとに舞い込んだ、「娘であるサラ・ホーキンスの一家心中の真相を調べて欲しい」という依頼です。
この調査を進める過程で、ホーキンス家の秘密や邪悪な異教徒の存在、そして主人公であるピアースの秘密が明らかになっていく…という感じ。
ジャンルは「サスペンスアドベンチャー」です。銃ぶっぱなしながら敵をボッコボッッコ倒していくようなゲームではありません。
聞き込みパートあり、探索パートあり、ステルスパートあり…といった具合で、あくまで1人の探偵としてゲームを進めていくことになります。
クトゥルフ神話とは
コールオブクトゥルフは「クトゥルフ神話」をテーマにしたゲームなんですが、そもそも「クトゥルフ神話って何?」って人もいると思います。
私も詳しい訳ではないんですが、簡単に言えばハワード・フィリップス・ラヴクラフトって人(とその仲間)が創作した「ホラー神話」です。
ジャンル的には「コズミックホラー」「宇宙的恐怖」と言われています。
「本来この世は巨大な力を持つ邪な神々(旧支配者)のものであり、旧支配者のもとにおいて我々人間はアリ以下の存在である」
「旧支配者の行動や思考は人間の理解の範疇を超えており、人間の理性や倫理観は無価値・無意味である」
「旧支配者の片鱗に少しでも触れた人間は、未体験のおぞましさと恐怖に正気を失い発狂する」
といった前提にある世界観で、とにかく陰鬱で退廃的です。
ちなみに「クトゥルフ」は、この話の中に出てくる邪神の1つです。
こんなやつ↓
私も「ラブクラフト全集」の1巻を読んだことがありますが、
- 廃墟探索中に正気を失い、気づいたら知人の人肉を貪り食っていた
- 魚顔の異教徒達が深夜に儀式を執り行うのを目撃して気を失う
- 恐ろしい旧支配者の姿を目の当たりにし恐怖のあまり発狂、絶命してしまう
といった感じの、かなりクレイジーな内容だった記憶があります。
世界観として一番イメージしやすいのはブラッドボーンですかね。
ブラボはクトゥルフ神話の影響をモロに受けているそうです。
(↓実際こんなの目の前にいたら発狂したくもなりますわな)
- 邪神、旧支配者
- 陰鬱、退廃的
- カルト狂信者、謎の儀式
- 血、生臭さ、発狂
みたいなキーワードがぴったりの世界観だと思ってもらえれば良いかなと。
ちなみに先に結論から言いますと、この「クトゥルフ神話」に興味が持てない人にとってはこのゲームは凡作です。
世界観に興味がある人であれば問題ないとは思いますが、「クトゥルフ神話って何?」ってレベルの人は、買う前に一旦自力で調べてみたほうが良いかもしれません。
コールオブクトゥルフの評価
世間の評価は賛否両論
2019年4月時点で、大手レビューサイト「Metacritic」でのPS4版メタスコアは63、ユーザースコアは7.2と、何とも微妙な評価になっています。
SteamのPC版の評価は、発売当初は「賛否両論」でしたが、度重なるアップデートの甲斐あってか、今では「ほぼ好評」となっています。
まあ要は、世間一般的には手放しに「傑作です!」とは言えない評価だ、ということです。
ただ、自分のプレイした感想としては、「結構面白い」「続きが気になって進めたくなる」といった感じで、概ね好評価でした。
以下、GOODポイントとBADポイントをそれぞれ解説します。
コールオブクトゥルフのレビュー
GOODポイント
世界観の再現度が素晴らしい
世界観に関しては、「よくぞここまで」という感じの作り込みです。
ゲームで主な舞台となる「ダークウォーター島」の退廃的な街の雰囲気は、まんまラブクラフト作品で出てくる「インスマス」なんですよね。(ブラッドボーンの漁村もインスマスがモデルです)
狂信者の儀式や死霊術もいやーな感じで、見ているだけで不安になるような気持ち悪さ・生理的な不快感があります。
ゾンビが襲ってくるようなパニック感とか、幽霊が襲ってくるような背筋の凍る怖さはよくありますが、あれとは次元が違う恐怖ですね。
ラヴクラフトが表現したかった恐怖感ってまさにこんな感じなんだろうなーと思います(適当)
気が狂うようなサウンドと演出
特に素晴らしかたのは、サウンド面です。
このサウンドに関しては開発元も相当こだわっていたようで、Youtubeでもそのこだわりっぷりが見てとれます。
↑みたいなアンビエントなBGMも世界観にマッチしていて、いい感じに不快感を刺激してきます。
私が感動したのが精神病院のサウンドエフェクトです。
探索中、精神異常者の笑い声とも泣き声とも叫び声とも取れる声が、ずーーーーーーーーーっと聞こえてくるんですよ。
しかも、固定パターンではなくて何パターンかのSEを組み合わせてやってるっぽくて、その声がマジでリアルで最高に気持ち悪かったんですよね。
とにかく最高でした。サウンドってホント大事ね。
攻略法が1つだけではない
アドベンチャーゲームにしては珍しく、パズルや謎解きの解決法が、1つだけではありません。
例えば、隠し扉を開けるためにパズルを解く必要があるんですが、Strength(強さ)にスキルを振ってたら、力技でこじ開けることができたりします。
鍵が必要な扉も、スキルが育ってればロックピックで解除して鍵探しをスルーできたり。
「鍵探すのかよメンドクセー…あれ?普通に解錠できるやん!」みたいな。
こういったゲームにありがちなストレスの緩和に一役買ってるのかな、という感想です。
基本的に一本道ではあるんですが、こうして攻略に幅があるのはおもしろいなと思いました。
続きが気になるストーリー展開
話自体は非常に惹き込まれるものになってます。
こういったタイプのアドベンチャーゲームのモチベーションって「先を知りたくなるか」が本当に大事(というか必須条件)だと思うんですけど、その点このゲームはやればやるほど先が知りたくなります。
次々と新しい事実が明らかになり、ところどころでどんでん返しがある…といった具体です。
例えるなら、ミステリー映画・サスペンス映画を自分でプレイしている感覚に近く、飽きることなく最後までプレイできました。
ただ実は、他のレビューを見てみると、「中だるみがひどい」「後半から失速する」といった声も少なくありません。
なので、ここはもう好みなのかもしれませんね。
ちなみに私のゲーム人生で3本の指に入るアドベンチャーゲームがコチラです。
BADポイント
SAN値がうまくゲームに活かされていない
SAN値とは「Sanity(正気)」の値、つまり「正気度」のことです。
恐ろしいものを見たりおぞましい場所にいたりするとSAN値が削られ、正常な思考も行動もできなくなり、しまいには発狂してしまう。
SAN値はクトゥルフ神話とセットで語られるレベルの重要な要素なのですが、このSAN値をうまくゲームに組み込んだゲームの1つとして、「Amnesia」という名作ホラーが挙げられます。
Amnesiaもラブクラフトの影響をもろに受けているゲームなんですが、SAN値を削り取られる描写が視界の歪み・霞みとしてうまく表現されています。
また、SAN値が下がると思うように動けなくなり、怪異に追いつかれて殺されてしまう…という仕組みになってます。SAN値とゲームがうまく連動している訳です。(ちなみに北米PSストアで絶賛発売中です)
一方でコールオブクトゥルフに関して言うと、このSAN値の存在がホントに邪魔で、ゲームのテンポを乱す要因になってます。しかもコレのせいで画面酔いが誘発されます。
SAN値が削られるような場所にいたり見たりすると、視界がぼやけたり画面がガタガタ揺れたりして、しまいにはブラックアウトしてしまう仕様になっています。
プレイヤーとしては、せっかく世界観が作り込まれてるんだから隅々までじっくりみたいのが本音です。
が、「グロテスクな造形物」とか「おどろおどろしい場所」とか「異界の怪物」なんかを見ると、問答無用でSAN値が削られていくので、堪能することはできません。
そのくせボス戦とかでは目の前に明らかにヤベー危険な奴がいるのに、冷戦沈着に「この武器(クエストアイテム)は他とちょっと違うようだ…」とか分析してるんですよね。このあたり結構矛盾しています。
ちなみにAmnesiaだと、SAN値が削られるのは怪異が起きた一瞬だったり、SAN値が削られても視界にはあまり影響がなかったりと、このあたりよくできています。
このゲームだとSAN値が削られたところでデメリットも少ないので、「SAN値ただ単に邪魔なだけじゃない?」と思いながらプレイしてました。
リプレイする気にならない
主人公のどのスキルを成長させるかでシナリオの攻略のルートが変わってきます。
聞き込みであればスキル次第で会話の選択肢が増えたり、秘密の情報を聞き出すことができたりする訳です。
ただこのゲーム、獲得できるスキルポイントの数が決まっていて、すべてのスキルを解放できる訳ではありません。
なのでいろんな攻略パターンを見るためにはリプレイが必須なんですが、残念ながらチャプターごとのリプレイができません。
一回クリアしたらまた最初から。15時間くらいまた同じことの繰り返しをやらなきゃいけない訳です。
一応チャプターごとに手動でセーブすることも可能なんですが、セーブスロットはそこまで多く無いんですよね。
成長要素は前のチャプターから引き継ぎなので、今後のアップデートでチャプターごとのリプレイが追加される可能性も低いです。
人の感情がわかりにくい
ピアースは探偵です。探偵と言えば聞き込みです。
場合によっては相手の感情をうまく読み取りながら、正しい情報を引き出せるように尽力する必要があります。
にも関わらず、このゲームのキャラクター描写はかなりのっぺりとしてます。
表情や動作から感情を読み取ることが困難な出来です。
一応よーーーーーく見ると、動揺している仕草や怒ってるような仕草を見せてる(開発者側が見せようとしている)ような気がするんですけど、まーーー伝わりません。
あと主人公の感情もわかりにくいです。
普段からイケボで「ここで何らかの儀式をやっていた形跡があるな」とか「人間ではない何者かが侵入したようだ…」みたいに冷静沈着に語ってる割には、カットシーンに入った瞬間に動揺しまくってたり。
ゲーム内の人物の感情表現がかなりブレブレで、プレイヤーが置いてけぼりを食らう可能性が高いです。
世界観がしっかりしている割にこの辺雑な印象があるので、「映画みたい!」といった感想はなく、あくまで「ゲームなんだな」という感じでした。
旧支配者がぜんぜん出てこない
クトゥルフ神話って、いろんな魅力的なモンスターがたくさんいるんですよ。
「クトゥルフ」については言わずもがなですが、「アザートス」とか「ヨグソトース」とか「ニャルラトホテプ」とか。
他にも「深きものども」とか「父なるダゴン」とか「母なるヒュドラ」とか…
ちょっとネットで検索したらいろんなイラストが見つかると思うんですけど、もとが小説ってこともあって、その造形は描く人によって大きく異なるんですよね。
なので、ここまで世界観を再現してくれたゲームで、旧支配者がどんな造形で描かれるのかをめちゃめちゃ楽しみにしていたんですが…
蓋をあけてみると、ぜんっぜんお目にかかれませんでした。
いや、確かに小説でもそんな頻繁にお目に描かれるような存在じゃないので忠実と言えば忠実なんですけどね。
ブラッドボーンでクトゥルフを知った人のように、「ド派手な怪異大放出のバーゲンセール」を期待してる人は、肩透かしを食うことになるかもしれません。
エンディングが「で?」だった(ネタバレなし)
このゲームはマルチエンディング採用でして、選択肢によってエンディングが変わります。
私は3つのエンディングをそれぞれ見ましたが、どのエンディングも見終わった感想が
「で?」
でした。
「風呂敷広げまくって畳めなくなってしまったので、勢いで終わらせました」という感じが強かったです。
ひょっとするとスキルや選択肢によってまた別のエンディングが用意されてるのかもしれませんが、さすがにリプレイする気にはならないので、別に知らなくてもいいかなと思っています。
実際にプレイされた方の感想
フォントが小さい
コールオブクトゥルフ字幕小さすぎ
— エンドレス (@Endless908) March 29, 2019
コールオブクトゥルフ、フォントが少し細めだなぁ。背景の色次第では読みにいのでは
— generator-g (@generator_g) March 28, 2019
洋ゲー感
コールオブクトゥルフやった感想〜
— 劉汰 (@ryu_ta99) March 28, 2019
やっぱ洋ゲー感はすごい。
そして、バール見つけられないままチャプター4まできたw
今からが本番や…ステ振りに困ってる_(:3 」∠)_
コールオブクトゥルフやってるけど、洋ゲー始めてで話かける度にしゃがんでしまう。情報収集もちゃんと全部回収できてるのか不安。
— 三毛 (@OkGb2a) March 28, 2019
怖い
コールオブクトゥルフ雰囲気最高だな
— このは (@konoha0102) March 28, 2019
怖いの苦手だけど最後まで何とかやりたいw
コールオブクトゥルフZ指定の名に恥じない感じで序盤からモツとかモツとかモツでオロロロって感じなんですけど一番の敵はFPS視点による画面酔い
— マユ⭕️ (@mayu_bakenyan) March 28, 2019
コールオブクトゥルフ怖すぎて20分でダウンした
— アツオ (@Axion131) March 28, 2019
コールオブクトゥルフめちゃくちゃ粗削りだけど雰囲気が不気味過ぎてそれだけで買った価値があるわコレ
— ななちょ (@NaNa_sga) March 28, 2019
まとめ
ということで、コールオブクトゥルフの感想とレビューでした。
不満点も多いですが、なかなか興味深い良いゲームだったなと思います。
ちなみに海外版をやっていて「日本では規制されるかもしれないな」といった場所は1箇所だけです。
精神病院のある部屋に欠損死体が安置されているんですが、下手したらコレが規制対象になる可能性もあります。
ただ規制されたとしても、ゲームの面白さに与える影響は0.01%とかでしょう。
なので興味がある人はぜひ、日本語版を楽しみにしていてくださいね。
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